【メディア】静岡新聞12月2日(水)お待ちかね静岡発ウイスキー

静岡新聞
2020年12月2日(水曜日)
お待ちかね静岡発ウイスキー

香る「オクシズ」に酔いしれて

熟成3年、19日発売

 静岡市葵区の中山間地「オクシズ」産のシングルモルトウイスキーが19日、初めて販売される。2016年に稼働した同区のウイスキーメーカー、ガイアフローディスティリング「静岡蒸溜所」の製品。約3年の熟成を経て瓶詰めされ、5000本を販売する。中村大航社長は、「設備から材料までこだわったウイスキーを楽しんでもらいたい」と話す。

 ウイスキーの製造は、中村社長が「自社でウイスキーを造り、世界中で飲んでもらいたい」と思い立って始めた。澄んだ空気や水に恵まれた地域を生産地に選んだ。
 静岡の風土を重視した製品づくりにこだわる。原材料の大麦麦芽は英国などからの輸入品が一般的だが、半分以上国産を使用し、香りや繊細な味わいを生んだ。仕込み水は地元の清流からくみ上げ、発酵槽には県産材、まきのじか火で加熱する蒸留器には地元の山から切り出した間伐材を使い、繊細な味わいに仕上がったという。
 製造当初は設備トラブルに悩まされ、稼働率は半分程度だったという。製造スタッフの増員やノウハウ向上で、フル稼働にこぎつけた。
 製造は軌道に乗り、来年度は増産する。新たに静岡産の麦芽や酵母を活用したウイスキーも製造中だ。
 中村社長は「静岡産の原料を使い、香りに特徴がある製品づくりを進めたい」と話す。
 商品の「プロローグK」は700ミリリットルで価格8130円(税抜き)。小売店や同社公式サイトで販売する。


【メディア】静岡新聞(夕刊)2020年2月10日(月)熟成3年 静岡市発ウイスキー誕生

静岡新聞(夕刊)
2020年2月10日(月曜日)
熟成3年 静岡市発ウイスキー誕生

 2016年に工場が完成した静岡市初のウイスキー蒸溜所「ガイアフロー静岡蒸溜(じょうりゅう)所」(同市葵区落合)でこのほど、設立当初にたる詰めした原酒が規定の熟成期間3年に達し、同蒸溜所初の「ウイスキー」が誕生した。

ガイアフロー蒸溜所
繊細「オクシズ」の味

 記念すべき「第1号」は200㍑のたる2個分。その後に熟成3年を経過したものを含め、1月21日までにおよそ20たるが出来上がった。日本の酒税法にはウイスキーのたる熟成に関する規定がないが、スコットランド(英国)をはじめとする各国は3年以上の熟成が必須条件。同社は輸出を見据え、世界標準を採用した。
 年末に試飲した中村大航社長(51)は「ライトで繊細な味わい」と表現。口に含んだ瞬間、会社を設立してウイスキー造りに乗り出した7年前、たる詰めした3年前からの道のりが、脳裏によみがえったという。
 製造初年度は設備のトラブルに悩まされ続けた。粉砕した麦芽を仕込み水に移動するモーターが止まり、10日ほど作業ができなかった。製造スタッフは当初の3人から8人に増え、18年11月からは週3回の製造工程見学ツアーを始めた。前例のない事業の理解者が徐々に増えている。
 ウイスキーは夏まで熟成を重ね、今秋に瓶入りを一般販売する。秋からは仕込み量も倍増させ、貯蔵庫も増設する予定。多くの見学者に対応する施設や人員も充実を図る。中村社長は「蒸溜所来訪を静岡市の中山間地『オクシズ』の美しい景観やおいしい食材を知ってもらう契機にしたい」と願いを込めた。(社会部・橋爪充)

高まる国産人気

 国産ウイスキーは近年、ハイボールの定着などを受けて市場拡大が続いている。日本洋酒酒造組合によると、2018年の出荷量は14万8000㌔㍑で10年前の2.4倍に達した。追い風を受け、県内ではガイアフロー静岡蒸溜所以外にもウイスキー製造の動きが業界の垣根を越えて相次ぐ。
 磐田市の千寿酒造は17年1月に自社製のブレンデッドウイスキーを発売。担当者は「国内外で需要が高い。しばらくこの状態が続くだろう」と話す。
 特種東海製紙(東京)は静岡市葵区の社有林に10億9000万円を投じて蒸溜所を建設中で、7月の酒造免許取得、仕込み開始を見込む。7年以上熟成のシングルモルトウイスキー製造を目指す。サッポロビール静岡工場(焼津市)も19年7月、ウイスキーの製造免許を取得した。
 1973年からの“老舗”で、「富士山麓」ブランドなどで知られるキリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所(御殿場市)は熟成貯蔵庫を拡充予定。2021年夏に生産能力を2割ほど拡大させる。

【メディア】静岡新聞夕刊2019年9月6日 クラフトビール 県内醸造所20カ所到達 観光の目玉期待感

静岡新聞
2019年9月6日
クラフトビール 県内醸造所20カ所到達
観光の目玉期待感

 県内のクラフトビール醸造所がこのほど、20カ所に到達した。このうち2018年以降の設立が7カ所と、急増傾向。関係者は「多彩なビールが相乗効果を生み、誘客拡大につながれば」と期待する。

 クラフトビールの情報を集めるウェブサイト「Always Love Beer」によると、全国の醸造所は400カ所超。本県以外で20カ所を超えるのは飲食店併設型が主流の東京都、神奈川県と北海道だけという。
 静岡県駿河区で6月から醸造を始めたウエストコーストブリューイングは、1996年から国内3カ所で個性的なビールを手掛けた名匠丹羽智氏(63)を責任者に迎えた。ホップを効かせた米国流ビールを主体に展開。トロピカルフルーツのような風味と濁った色合いが特徴の「ヘイジーIPA」に注力する。
 周辺醸造所との情報交換を通じ、県内の技術底上げも目指す。オーナーのバストン・デレックさん(39)は醸造所や飲食店の”飲み歩き”を念頭に、「静岡はこれから『ビール観光』がキーワードになる」と見通す。
 マウントフジブリューイング(富士宮市)は3月に開業した。富士山の湧水を活用し、甘い香りが漂う優しい口当たりのホワイトエールなど4種を定番とする。富士山本宮浅間大社の近隣で観光客も多いため、飲みやすさを重視。醸造責任者の会森隆介施設長(41)は「地元で長く愛されるビールを」と話す。
 県内ではこのほか、静岡市葵区の飲食店「フィエスタ・ガルシア」が9月、同市清水区で醸造を開始する。
 今夏、同市で開催した「第5回クラフトビール&ウイスキーフェア」の実行委員長中村大航さん(50)=ガイアフロー代表取締役=は醸造所増加の背景について「クラフトビールを提供する飲食店が増え、市場が安定的に広がった」とみる。その上で「イベント、醸造所、専門店の増加と情報発信で、県外の客も増えてほしい」と願う。(社会部・橋爪充)

【メディア】静岡新聞朝刊2018年12月19日 動画deしずおか+

2018年12月19日
静岡新聞 朝刊

山間の蒸溜所 熟成の香り

静岡市中心部から車で約40分。オクシズと呼ばれる中山間地、葵区落合の「ガイアフロー静岡蒸溜所」にたどり着いた。建物に一歩足を踏み入れる。若々しいウイスキーのツンとした、しかしどこか丸みも感じる芳香に鼻腔(びこう)をくすぐられた。
今秋、水や麦芽、燃料など、すべてを地元調達にこだわった念願の“オール静岡ウイスキー”の仕込みに本格的に乗り出した。(デジタル編集部・村松響子、白本俊樹)

洋酒造り こだわり(写真左上)

装置が所狭しと配された室内。11月下旬のこの日、“オール静岡ウイスキー”の初の蒸留が行われ、見学者に公開された。世界に一つとされる薪(まき)のじか火で加熱する蒸留機。スモーキーでパワフルな味を生み出すという
※動画では、ガイアフローの中村大航代表のインタビューもご覧になれます。

味も深まる 琥珀色(写真右上)

蒸留直後、無色透明だったウイスキーは熟成を重ねて琥珀(こはく)色に変化する。貯蔵たるの大きさや種類によって、色や味わいが違ってくるという。蒸溜所の一角の試飲室では、見学者がさまざまな熟成段階のウイスキーを吟味した

たるで貯蔵 整然と(写真右下)

たる単位で予約購入された「プライベートカスク」が、見上げる高さにまで整然と並ぶ。蒸留後に熟成を進める貯蔵庫だ。ひっそりとした空間に時折、試飲のため木づちを打ち開栓する音が響き渡った

霧中の工場 幻想的(写真左下)

標高約190メートルの山あいに立つ蒸溜所。夕方、うっすらと霧が広がった。工場の明かりがともり、幻想的な景色が浮かんだ
※動画では、一定間隔で定点撮影したタイムラプス映像で、“時の移ろい”をご覧になれます。