ガイアフローディスティリング株式会社は、このたび洋酒技術研究会より、第14回「洋酒技術研究会賞」を受賞いたしました!
今回の受賞では、「地元に根ざしたウイスキー製造とクラフトウイスキー業界発展への貢献」が評価されました。
洋酒技術研究会賞は、洋酒業界の技術発展や品質向上、文化振興に貢献した個人・団体を顕彰する賞です。当社の取り組みが、日本の洋酒業界の発展に寄与するものとして認められ、このたびの受賞となりました。
表彰式は2026年5月11日、東京會舘 LEVEL XXIにて執り行われました。
洋酒技術研究会とは

洋酒技術研究会は、国産洋酒の品質向上、業界の活性化、ならびに洋酒類に関する知識の相互啓発に資することを目的とする専門団体です。公式サイトでは、「技術と情熱で紡ぐ、洋酒の未来」を掲げ、洋酒業界の技術革新と品質向上を目指す総合的な専門家集団として紹介されています。
同会は、1961年に「酒類香料研究会」として設立され、1963年に「洋酒技術研究会」へ改名されました。2022年には60周年を迎え、長年にわたり、洋酒製造に関する技術情報の共有、法制度に関する情報発信、講演会、きき酒会、工場見学会などを通じて、日本の洋酒業界の発展を支えてきました。
会員には、洋酒メーカーをはじめ、資材・設備メーカー、原料サプライヤー、香料メーカー、流通業者など、洋酒業界に関わる多様な企業・技術者が参加しています。また、同会における「洋酒類」には、ウイスキー、ブランデー、果実酒、ビール、スピリッツ、リキュールなどが含まれます。
近年は、クラフト洋酒の普及と品質向上、国際展開、環境に配慮した持続可能な製造方法の研究にも力を入れており、洋酒産業を技術・品質・文化の各面から支える役割を担っています。
受賞理由
今回の受賞では、当社が静岡の地に根ざしながら、ウイスキー製造における新たな価値の創出と、日本におけるクラフトウイスキー業界の発展に取り組んできた点が評価されました。
選考においては、国内の小規模ディスティナリーにおける先進的なコンセプトを提唱し、商品化を進めてきたこと、また、社会科学的見地から見ても、地元に根ざしたウイスキー製造とクラフトウイスキー業界の発展に貢献していることが評価されています。
特に、当社が「小規模な蒸留所で製造されたウイスキー」を表す言葉として、国内における「クラフトウイスキー」という概念が広がるきっかけの一つをつくったことも、評価の対象となりました。
静岡県産大麦麦芽への取り組み

静岡県内では、1980年代以降、大麦の栽培がほぼ途絶えていました。そうした状況の中、当社は2015年より地元農家との協業を開始し、静岡県内の農業関係団体や研究機関との連携を重ねながら、静岡県産大麦麦芽の商品化に取り組んできました。
静岡蒸溜所の創業当初である2016年からは、一部ロットにおいて静岡県産大麦麦芽を使用したウイスキー製造を行っています。
また、2023年からは「100%日本産大麦麦芽」によるシングルモルトウイスキーを商品化しました。この取り組みは国内外でも評価され、英国のWorld Whiskies Awardsにおいて、2024年に「日本エリア・スモールバッチ・シングルモルト部門」のカントリーウイナーを受賞。その後も2025年、2026年と、3年連続で「100%日本産大麦麦芽によるシングルモルトウイスキー」によりゴールドを受賞しています。
原料の産地、地域農業との連携、製麦、発酵、蒸留、熟成、商品化までを一体として捉え、静岡ならではのウイスキーづくりを継続してきた点が、今回の受賞において重要な評価要素となりました。
発酵・蒸留における独自の製造技術

静岡蒸溜所では、伝統的なオレゴンパイン製発酵槽4槽に加え、静岡県産杉材を用いた発酵槽6槽を採用しています。
発酵槽の材質の違いによって、発酵中の乳酸菌叢に差が見られることも確認されており、地域材を活用した発酵の可能性を追求しています。

蒸留設備においても、特徴的な構成を有しています。スコットランド製の初留釜では、地元山間部の間伐材を燃料とする「薪の直火」による加熱を採用しています。一方で、閉鎖された軽井沢蒸留所から移設された、1950年代に設計・製造された国産蒸留機も稼働しており、こちらでは蒸気間接加熱による蒸留を行っています。
薪直火蒸留による力強く厚みのある原酒と、蒸気間接加熱による繊細で華やかな原酒という、異なる個性を持つ多種多様な原酒をつくり分けている点も、静岡蒸溜所の大きな特徴です。
プライベートカスク・プログラムによる新たな顧客体験
当社は、ウイスキーづくりに顧客が参加できる仕組みとして、「プライベートカスク・プログラム」を展開してきました。
このプログラムでは、麦芽のタイプ、蒸留方式、貯蔵樽の容量、樽の育成期間、瓶熟成期間など、複数の選択肢の中から顧客が自ら仕様を選び、熟成の過程を見守りながら、最終的に自分だけのウイスキーとしてボトリングすることができます。
この仕組みは、単なる製品販売にとどまらず、顧客がウイスキーづくりの時間や過程に関わる体験価値を提供するものです。現在では、日本国内の多くの小規模ウイスキー製造所においても、同様のビジネスモデルが採用されるようになっており、クラフトウイスキー業界における一つのモデルとして広がっています。
洋酒文化の振興に向けた取り組み
当社は、製造だけでなく、洋酒文化の振興にも継続して取り組んできました。

2015年からは、「静岡クラフトビール&ウイスキーフェア」を主催しています。
同イベントは、近年では2日間で5,000人を超える来場者を集める大規模なイベントへと成長し、地域におけるクラフトビール、ウイスキー、洋酒文化の発信拠点の一つとなっています。
また、2021年からは、静岡県内27店舗のバーが参加するバーホッピングイベントを開催し、オンラインスタンプシステムも開発しました。
地域の飲食店、バー、消費者をつなぎ、ウイスキーや洋酒に親しむ機会を広げる取り組みを続けています。
こうした取り組みは、顧客と一体となった洋酒文化の振興を目指すものとして、今回の受賞においても評価されました。
代表 中村 大航のコメント

このたび、第14回 洋酒技術研究会賞を賜りましたことを、身に余る光栄に存じます。
ガイアフロー静岡蒸溜所は、ひとりのウイスキー愛好家の目線から、『自分が飲んでみたいと思えるウイスキーを造りたい』という好奇心からプロジェクトがスタートしています。
時は2012年という、まだウイスキーブームが到来する前。しかも、現代において誰も行っていなかった100%日本大麦を原材料にして、薪を燃やしてウイスキーを蒸留するという、無謀とも思える取り組みでありました。
さらに、2023年からは、静岡蒸溜所において「ウイスキースクール」を開校し、2日間にわたる体験型プログラム「ウイスキー製造初級コース」を運営しています。全国から受講生が参加し、ウイスキー製造の基礎を実際の現場で学ぶ機会を提供しています。
それがウイスキーという形に成っただけでなく、英国World Whisky Awardsにおいて3年連続ゴールド受賞(ジャパニーズウイスキーのスモールバッチ・シングルモルト部門において)という日本初の高評価を得るまでに至っております。これもひとえに、ウイスキー業界のオープンさと、諸先輩方のご指導ご助言の賜物と考えております。
2026年9月には製造免許取得から10年を迎えますが、ウイスキー蒸溜所としては一人前と言えるためには更なる年月が必要であることを痛感しております。
今回の受賞は、弊社への期待を込めた叱咤激励と受けとめ、今後はより一層科学的な知見や客観的なデータの蓄積を進め、クラフトウイスキーの品質向上と日本の洋酒文化の発展に貢献してまいる所存です」

