【メディア】NHKニュースシブ5時 2019年5月9日

2019年5月9日 16:50〜18:00
NHKニュースシブ5時
特集「常識破りのウイスキーづくりに挑む!」

日本で今、
世界中のバイヤーから
注目を浴びるウイスキー
があります

まだ熟成の途中で
発売は来年であるにもかかわらず
予約は殺到

スウェーデンの製造業者
「驚きです すごくいい」

スコットランドのバイヤー
「これはジャパニーズウイスキーの
未来のあるべき姿だ」

ウイスキー製造会社 代表
中村大航さん 50歳
7年前、精密部品を造る会社から
ウイスキー造りに転身した
異端児です

世界に通用するには
人まねではダメだ

常識にとらわれない
大胆なやり方で
ウイスキー造りに挑んでいます

「教科書を読んでて
それに従って造るような」

「なんでもいいから
ウイスキーができればいい
っていうんだと」

「自分がやる意味がない」

世界のウイスキー界に
革命を起こす
中村さんの野望に迫ります

静岡市の中心部から
クルマで40分

ここに中村さんの
蒸溜所があります

「おはようございます!」

中村さんの一日は
毎朝8時半に始まります

生産規模は
大手メーカーの10分の1ほど

15人が働くベンチャー企業です

この小さな会社から
なぜ世界を驚かすウイスキーが
できるのか?

秘密は、
常識を覆す発酵にあります

静岡の杉を使った発酵槽です

一般的には
ステンレスが使われますが
中村さんは
地元静岡の杉を使っています

味わいや香り生み出す
乳酸菌の働きを
最大限に引き出すためです

自然界に広く分布する
乳酸菌ですが
実は、その土地その土地の
環境に応じて
住む種類が違います

静岡にしかない杉と
静岡にしかない乳酸菌を
組み合わせれば
世界で一つだけのウイスキー
ができる

中村さんの挑戦が始まりました

「空気の中にですね
飛んでいる乳酸菌とか
それ以外の地元の菌が
木の表面に住み着くんですね」

「地元の環境で育った木
であれば」

「恐らく地元の菌とも
仲がいいというか
相性がいいはずなので」

「それによってウイスキーの、
お酒の味わいに」

「独特の香り、
味わいをつくってくれる」

しかし誰もやったことのない
この方法には
大きな課題がありました

新しい杉材には
ポリフェノールが
多く含まれます

このポリフェノールが、
せっかくの乳酸菌の働きを
抑制してしまうのです

中村さんがとったのは
地道な作戦です
何年もかけて、
ただひたすら発酵の作業を
繰り返すことで

少しずつポリフェノールを
抜いていくことでした

「杉の発酵槽で、普通に
発酵していけるんだろうか?」

「そういう
実際にやってみるまでは、
ものすごくわからない
恐さっていうのはありました」

「けど、それでも
やっぱりやってみたい」

「そういうのを挑戦してみたい
という気持ちは強くありました」

中村さんが
最もこだわっている
という作業があります

発酵でできた液体から
純度の高いアルコールを
抽出する蒸留です

「どう?」

「悪くはないですね」

使うのは薪
実は、この薪を使う蒸留が
常識破りなんだそうです

一般的な蒸留では
ガスを燃料に蒸気で加熱します
温度を一定にすることで
品質の安定したウイスキーを
量産するためです

一方、中村さんの方法では
薪をくべるタイミングや
位置によって
炎の状態も様々
加熱にムラができます

実はこのムラにこそ
意味があると
中村さんは考えています

味わいの異なる
個性的なウイスキーが
次々と生まれてくるからです

「変わったやり方を
することによって
より美味しいものが
できるんじゃないか」

「修正を繰り返しながら
進んでいければ」

「きっとそれなりの
人に愛されるウイスキー
ができるだろう
っていうことには
疑いを持っていないですね」

「変わったことが
いっぱい出てきましたね」

「取材をしたのは
足かけ3年
このウイスキーを
追い続けてきました
静岡放送局
早坂アナウンサーです」

早坂隆信アナウンサー
「よろしくお願いします」
「人気なんですか?」
「ハイ、そうなんですよ」

「日本のウイスキーって、
世界で評価が高まって
人気なんですね。
もうこの5年で
輸出量というのが
2倍以上に増えている
ものなんですね。
その流れを受けて、
全国各地で小規模な蒸溜所
というのが
次々と誕生しているんですが
その中でも、
この中村さんの蒸溜所というのは
特に注目される蒸溜所の
ひとつになっているんです」

「日本のウイスキーって、
そんなにいま
人気が高まっているんですか?」

「国際的な賞を獲ったり
しているんですね。
これでもう、
バリューが上がっている
ということと
あと品薄ということもあって、
すごく人気で。
これ外交でも
重要アイテムになってまして
中東の王族でも
ウイスキー好きな人多いですし。
皆さんやっぱり交渉の時に
持っていきます。
特にね、情報戦をやるところ、
MI6(英国情報部)ですとか
インテル(諜報)の世界では
特にウイスキーが人気でして。
ダンディズムの文化が
浸透しているところですから。
これはね、
すごく重要なアイテムなんです」

「ここのウイスキー、
どうなんですか?」
「飲んだんですか?」
「飲みました!
スッゴクいいです!」

「味わいとしては、
香ばしくてまろやかな甘み
があるんですね
舌にしっかり残る
どちらかというと重厚な味わい
それは熟成前の段階
蒸留したての段階で
それだけ個性が際立っている
それはびっくりしました」

「その味が世界で
受けてるってこと?」
「まだ完成前では
あるんですけれども
それに期待が
集まっているんですね」

「ウイスキーの評価を語る上で
非常に重要なキーワード
がありまして、
それがこちらなんです」

「個性こそ味」

「ウイスキー愛好家の中では、
いわゆる
万人受けする飲みやすいもの
ではなくて
蒸溜所ごとの個性を楽しむ、
『私はこれが好きだ』
『僕はこっちがいい』
個性を楽しむ人が
増えているんですね
ですので小さな蒸溜所でも
世界に一つだけの
オンリーワンを作れば
世界で評価されるものができる」

「人気になれる?」
「そうなんです
そういう世界なんですね
だからコストですとか、
手間をかけてでも
他がやっていない作り方をしよう
という風に考えているんですね
その一つが
薪を使った直火の蒸留
であるわけです」

「こうした常識破りの作り方を
している中村さん
元々は極めて常識人
だったそうなんですね。
部品メーカーを経営されていて、
コストカットですとか、
効率化というのを推進
していたんですね。
そんな中村さんがなぜ
破天荒なウイスキーづくり
を始めたんでしょうか?
ご覧ください」

中村さんは34歳のとき
祖父の代から続く
精密部品の工場を
引き継ぎました

親の家業を継ぐのが世の常識
だと思っていた中村さん
初めての社長業に
張り切っていました

しかし会社は
大きな負債を抱えていました
作業効率も悪く、
コスト意識が低いままでは
会社は潰れてしまう

経営方針をめぐって
会長職の父親と激しく対立

(父 中村光次さん)
喧嘩が絶えず、
関係は悪くなる一方でした

「毎日顔をあわせて
仕事をしなきゃいけない」

「そういう苦しさ、
難しさっていうのは
非常にありました」

「すごいストレスを
溜めてですね」

「ストレス発散のために
お酒飲んだりして
それで飲み過ぎて体を壊すとか」

中村さんは
当時多くの会社が取り入れていた
トヨタ式のカイゼンを断行

その結果
長年続いていた赤字を解消
これで父親とのわだかまりも
無くなると思っていました

「会社が良くなれば
数字が良くなって
お金の心配がなくなれば」

「私は、
『親がとても幸せになる』
って
勝手に思い込んでたんですよ」

「実際には
あんまり変わらないっていうか
実際なってみて、
『あれっ?』と思ったんですね」

「四十にもなってですね
ここまで長い間
がんばってきたのが」

「実は、見当外れだった!
っていうことに
気がついてですね」

「そこは愕然として
燃え尽き症候群に
なっちゃったんですね」

会社には全く行かなくなり
自分を見つめ直す日々が
一年半続きました

43歳の夏、友人から
「パリで花の個展を開くから
見に来ないか?」
と誘われました

気晴らしにでもなれば、と
旅行を決めた中村さん
せっかくなら行ったことのない
スコットランドにも足を伸ばそう
と考えました

訪ねたのはウイスキーの聖地
アイラ島です

中村さんにとってのウイスキー
子供の頃、
父親が棚に大切に飾り
飲んでいた姿
そして、それを追いかけるように
自分も嗜むようになったお酒です

ここで
中村さんの運命を変える出会い
が待っていました

ベンチャー企業が
7年前に起ち上げた
島で一番新しい蒸溜所です

目にしたのは常識にとらわれない
非効率的なウイスキー造りでした

「正直びっくりしたんですよ」

「今時のベンチャーって
最新式の設備を使って」

「少人数で効率よく
作ってるんだとばかり
先入観で思っていたので」

「まさかこんな
ボタンなんか押すとこがない
っていう」

「水位を測るのに
浮きと重りを使って
測るみたいな」

「そんなローテクな、
オールドファッションな
設備を使って」

「世界中で人気のウイスキー
ができる
っていう事自体に
すごく驚かされたんですよ」

蒸溜所を後にした中村さん
ふと、もやもやしていた気持ちが
吹っ切れました
常識にとらわれていた
自分の考え方を
捨てさえすれば
うまくいくのではないか

「ちょっと待て、と」

「この規模、このくらいの設備で」

「もしかして
自分でもウイスキーって
作れるのかな?
っていうふうに」

「まあ、ある意味
勘違いの発想が
生まれてきたんですけれども」

「自分にしかできない物づくり
っていうのを形にしてみたいと」

帰国後
「ウイスキーづくりをする」
と真っ先に報告したのは
父親でした

「私の父が
それを聞いた瞬間にですね
『それは面白い』
て言ったんですよね」

「なんか可能性がある
と思ったのかもしれないですね
もしかすると」

自分にしかできない
ウイスキーを造る!
研究を続けて二年経ったある日
ふとある光景が
脳裏に浮かびました

「子どもの頃、
祖父の家に
遊びに行った時に入った
五右衛門風呂です
薪で炊くお風呂
ってあったんですね」

「なんかこう
トロトロしているような」

「なんというかこう
粘性があるような」

「別に同じ水のはずなのに
なんとなくちょっと雰囲気が違う
そんな感じがしてですね」

「子供心に
非常に不思議に思ったのを
覚えているんですけれども
何かそういう違いが
生まれるんじゃないかって
いうことは想像はしてました」

こうして産まれた
あの薪の蒸留機

今まで誰も歩んで来なかった道を
開こうとしています

「自分が作るからこそ
できるウイスキーを造りたい」

「普通に機械を買ってきて」

「そして教科書を読んで
それに従って造るような」

「なんでもいいから
ウイスキーができればいい
っていうんだと」

「自分がやる意味がない
と思うんですよね」

「言葉が染みますね」
「大転換があったわけですね」

「家の事業をなんとかしよう
と頑張って
コストカットとして幸せになる
かと思ったら
そうじゃなくて、っていう」

「で、大転換の
ウイスキーとの出会い
があったわけですね」

「そこでまた
お父様と価値観を共有
できたという」
「なんか面白いお話ですよね」

「お父さん、
今ではすごく
息子を応援していて、
時々フラッと
蒸溜所に顔を出したり
とかですね」

「あと、この静岡蒸溜所には
樽のオーナー制度
というのがありまして、
樽を予約すると
その自分の樽に
ウイスキーを詰めて熟成をして
その後ボトルにして届けてくれる
いわゆるマイ樽を予約できる制度
があるんですけど、
お父さんも早速その樽を買って
これが出来上がったら
息子と飲むのを楽しみ
にしているそうなんですね」

「じゃあ、中村さんも
喜んでいらっしゃる?」
「はい、
かなり照れくさそうにして(笑)」
「照れくさい?そうかそうか。」

「これ、でも
私たちも飲めるんですか?
予約殺到と言ってますけど?」
「そうです。
今は先行予約だけなんですけども
一般向けには今熟成中なんです」

「最低3年は熟成する
という方針でして、
熟成したものが
ボトルに詰めて発売されるのは
来年の夏になると」

「オリンピックイヤーだ!」
「ちょうど!」
「なるほど!」
「なんか記念の
いいお酒になるかな?」
「もしかしたら
更に世界から注目される
かもしれません」

「ここまで
ウイスキー界の新境地を切り開く
中村さんの挑戦を
お伝えしました」
「早坂アナウンサーでした」

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