【イベントレポート】2023年2月17日開催 アスタモリスセミナー

2月17日、品川で行われたアスタモリスのプロ向けセミナー。
3年ぶりの来日とあって、嬉しさが爆発していたバート氏。40名もの酒販店様、バーテンダーの皆様を前にやや緊張しながらもセミナーをスタートしました!その様子をレポートします♪

▷ 自己紹介とアスタモリス誕生の経緯 ◁

バート:
みなさん、こんにちは。今日はお忙しい中アスタモリスセミナーにお越しいただき、ありがとうございます。
この3年間、大好きな日本に来ることができずに、とてもさみしく思っていました。
羽田に到着して電車を乗り継ぎ、懐かしい新橋に辿り着いたとき、自分がいかに日本を恋しく思っていたかを改めて感じました。本当に、また来ることができるようになって嬉しいです。

さて、ではアスタモリスについてご紹介する前に、私自身のお話をさせていただきましょう。
私は、19歳までアルコールを全く飲めない人間でした(注:ベルギーではビールやワインは16歳から、蒸留酒は18歳から飲酒可能)。妻はそこが良いと言っていたのですが、今となってはもう…ですね。

ある日近所のバーに行くと、バーテンダーが「こんなのはどうだい?」と言ってウイスキーを勧めてきました。それは、ジャックダニエルのシングルバレルでした。

恐る恐る口に含んだ瞬間に、稲妻に打たれたような衝撃が走りました。それがウイスキーとの出会いで、それからというもの、バーで色々試すだけでなく自分でも買い揃えて行くようになり… そのコレクションが増えるにつれ、ついに私はスコットランドに行ってみようと思いました。

それまでにスコッチのシングルモルトで飲んだことがあったのは、ラフロイグ、ボウモア、ブルックラディ。この3つの蒸溜所に行こうと思ってアイラに辿りついたら、そこにはアードベッグやカリラなど素晴らしい蒸溜所がいくつもありました。蒸溜所を回っていくうちに、すっかりスコッチの魅力に取り憑かれてしまったのです。

それを機にウイスキーブログを開設しました。徐々に規模が大きくなり、現在では世界各国に20人のライターがいます。こちらは英語で書かれており、誰でも見ることができます。ぜひご覧になってください。

その時に、「このウイスキーについて書いてくれ」とメーカーからサンプルと、原稿料をもらって記事を書くようにもなってきました。ウイスキーをもらってお金も稼げるとは、なんて素晴らしい仕事なんだ!と思いましたよ。
そのサンプルをブログの仲間に配ったりしていくうちに、実際に自分の樽を手に入れて意見を聞くようになった、それがアスタモリスの始まりともいえます。
以来、世界中のウイスキーイベントに参加するようになりましたが、この3年はコロナ禍で思うように動けなくなってしまいました。私の妻は喜んでいましたが… しかし、またこうして日本に来ることができるようになりました。


では、早速テイスティングに移っていきましょう。

▷ グレンゴイン2007の紹介 ◁

最初は東海道五十三次シリーズのグレンゴイン2007ですね。リリースから少し時間が経っていますね…2016年にボトリングしています。

こちらはリフィルバーボンバレル、バーボン樽熟成の特徴的なバニラ、シトラス、バナナの香りが感じられるのではないでしょうか。
みなさんどうでしょう、このウイスキーはお好きですか?
グレンゴイン蒸溜所の特徴は、バターのような口当たりです。オイルのようにまとわりつくテクスチャーが感じられると思います。

アスタモリスのボトルにはチルフィルタリング(冷却濾過)を施していません。
チルフィルタリングは原酒を非常に低い温度まで落として、不純物を結晶化させて濾過する方法です。しかしこれにより、ウイスキー本来の味わいであるオイルが取り除かれてしまいます。
なぜこれを行うかというと、製品化したウイスキーを涼しい場所に置いておくと、ウイスキーが濁ってしまいます。一般のお客様は、それを見て悪いものだと思ってしまい、購入しなくなってしまうのです。大手メーカーではそのようなことのないよう、チルフィルタリングをして、製品の均一化を図ります。

しかし、それによってアロマの豊かなオイルを失ったウイスキーは、本来の味わいをも失ってしまうのです。だから私たちはチルフィルタリングを行うことはありません。多くのボトラーズが、ナチュラルなウイスキーを提供するように心がけています。そして、着色料を添加することもありません。自然な、ウイスキーの持つ個性をそのまま味わっていただきたいと思っています。

▷ ダルユーイン2011の紹介 ◁

では次のウイスキーに進みましょう!
こちらはダルユーイン、次にリリース予定の東海道五十三次シリーズ最新作、「箱根」になるボトルです。

ダルユーインは1852年に創業したスペイサイドの蒸留所です。アードベッグやマッカランなどの有名な蒸留所ではありませんが、素晴らしいウイスキーを生産しています。そのような小さな造り手の良いウイスキーを発見するのが私の喜びでもあります。

そして1925年、のちにディアジオとなるDCL(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)が買収しています。現在も蒸留所はビジターセンターもなく、見学も受け入れていません。これも知られざるウイスキーとなっている理由の一つです。
J&Bの原酒でもあります。ダルユーインがなければJ&Bはこれほど愛されなかったかもしれませんね。

このような小さな蒸留所の良いところは、サプライズがあるということです。すでに名の知られたブランドのものであれば、ボトルを手に取ったときに味の想像ができる。しかし知らない蒸留所のウイスキーが美味しかったら、とても驚き、嬉しくなって、印象に残るのです。

そして興味深いことに、とてもワクシーな個性を持っています。このようなワクシーさをもつ蒸溜所はスコットランドに3つしかありません… クライヌリッシュ、ディーンストン、そしてダルユーインです。

ダルユーイン蒸留所は木製の発酵槽を使用しています。静岡蒸溜所と同じですね。この木製の発酵槽の管理がいかに大変か、中村さんに聞いてみてください!現在ステンレスのタンクを使うところが多いのですが、それはメンテナンスがしやすいからです。

そしてモルトミル(粉砕機)も、同じポーティアス社製のものが静岡蒸溜所にありますね。このポーティアス社のモルトミルは非常に頑丈で質が高く、めったに壊れず長持ちするため、買い替えや修理の注文がなくて倒産してしまったのです!だから、今ではこのミルは非常に珍しいのです。
そしてポットスティルはランタン型。銅との接触が多く、エレガントで軽やかな酒質になります。

▷ カリラ2008の紹介 ◁

さて、その次はカリラです。このボトルは「アスタ・イーラ」という名前です。なぜかというと、アスタモリスでは「カリラ」という蒸留所名を使うことができないのです。たくさんのボトラーズが「カリラ」と謳っているのですが、なぜか私は使用できません。では好きな名前をつけさせてもらうよ、ということで「アスタ・イーラ」と名付けました。「イーラ」はゲール語での元々のアイラの発音です。

カリラ蒸溜所は1846年に創業しました。1927年にDCLの傘下に入っています。1972年までは小規模でしたが、その後非常に大きな蒸溜所へと成長し、年間800万Lの生産量を誇っています。

カリラはジョニーウォーカーブラックラベル、ブルーラベルの原酒として、スモーキーなアクセントをもたらしています。原酒としてさらに幅が広がるように、試験的に1999年にはノンピートの原酒も造っていました。その時のスピリッツのカッティングは63%でした。
通常、ウイスキーの「ハート」と呼ばれるニューメイクの部分は57~59%でカッティングします。ウイスキーの蒸留では最初にエレガントな香りが得られ、徐々にヘビーな香りへと移っていきます。特に軽やかで華やかな香りを持つ原酒だけを得るようにと考えられたのです。

この樽は2019年に購入しました。それからシェリーカスクフィニッシュをかけています。アルコール度数の力強さ、ピートのパワー、そしてシェリーの重厚さの3つがバランスを保っています。ストレートネックのポットスティル由来の、カリラの個性が発揮されています。どうでしょう、気に入っていただけましたか?

カリラは私にとっても思い出深い蒸留所です。何度か訪れましたがタイミングが合わずに入れなかったこともあれば、そこで出会った人々と今も続く交流ができていることもあります。このボトルでカリラの魅力を感じていただければ幸いです!

最後になりますが、みなさんご参加いただきありがとうございました。こんなにたくさんの方々に来ていただけると思っていませんでしたので、本当に嬉しいです。これからもこの友好の輪を広げていけたらと思います。どうもありがとう!

▷ 質疑応答 ◁

1)東海道五十三次シリーズが好きなのですが、これは場所や土地から連想してボトリングしているのでしょうか?

バート:実は大航サンが決めているので… 説明してもらえますか?

中村:これは、東京と京都の端から順に、リリースに合わせて決定しています。西で一つ、次は東で一つ、という形ですね。東西の両端から進んで、最後は静岡で終わる、というイメージです。

2)樽を購入するときに、どんなフィニッシュにするか決めて買うのですか?それとも買ってから、様子を見ながら考えるのでしょうか?

バート:やり方は3つあります。まず1つは、最初から特に素晴らしいもの。これは手を加えずそのままボトリングします。2つめは、悪くはないがちょっと物足りないもの。そのような樽はリカスクをしますが、それでシェリー樽が良いと思ったとしても、ファーストフィルなのかセカンドなのか、と細かい決断が必要です。それを決めていくのはこれまでの経験の積み重ねですね。
3つめはニューメイクを購入して、一定の年数は何もせずに置いておく、ということです。
この仕事で一番面白いのはそのような樽管理です。いくつ樽を保有していたとしても、半年に一度は必ず全てチェックします。

数年前、マルサラの樽を探していて、ようやく良い樽が見つかりました。よし!と思ってカリラを詰めたら、とんでもない出来になってしまいました!その時は「今すぐオロロソの樽に詰め替えて!」と指示を出しました。すごく上手く行く時もありますし、難しい時もありますね。この樽は2042年にボトリングしたいと思います。楽しみにしていてください!

3)今の話ですが、マルサラの樽が悪かったのか、カリラと樽の相性が悪かったのか、どうお考えでしょうか?

バート:ウイスキーの「オフノート」というものはご存じですか?ウイスキーにとって好ましくないような、悪い要素の香りのことです。…そのウイスキーには、あらゆるオフノートが詰まっていました。たまにはそういうこともあります。

樽は良かったはずです。熟成というのは自然のなせる技なので、どう転ぶかわからない。これはその典型のようなことだと思います。

4)その樽ですが、数十年後にボトリングするとして、リカバーできていると思いますか?

バート:自然のことなので、なんとも言えません!樽とスピリッツの相性です。今回はマルサラ樽とは上手くいきませんでしたが、オロロソ樽とは調和するかもしれない。20年後にその樽がどうなっているかは、20年後に世の中がどうなっているかを当てるのと同じようなことです。それができるなら、私は占い師になりますよ!

5)日本が好きとのことですが、なぜですか?きっかけがありましたか?

バート:理由はたくさんあります!まず、食文化やカクテルなど、非常にクオリティが高いことです。それから、気候。自分にとってとても合っていると思います。そして、人々が親切で素直です。世界中の人がこうあるべきだと思える姿です。
おもてなしの文化もそうですね。ホテルでもバーでも、ゲストをもてなすという高いホスピタリティ。これは他の国ではあり得ないことです。

そして細かいことへの気配り、技術の高さ。日本のバーでは100杯のカクテルがすべて同じクオリティでできる。さらに、よく言われることですが、どこに行っても清潔であること。ゴミひとつ落ちていない。あとは、スピードカメラがないことですね!


参加者のみなさまとの交流もとても楽しんだバート。このあと秩父ウイスキー祭りにも参加し、日本のウイスキーシーンに再び溶け込むのに時間はかからなかったようです!

今回テイスティングしたアイテムは今夏発売を予定しています。どうぞ楽しみにお待ちください!

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